不公平感を組織のエネルギーに変える組織心理学のヒント(2:6:2の法則)
先日、ある記事を読んで、組織心理学という分野に改めて強い興味を持ちました。
特に「一生懸命やっているのに、なぜか不公平感を感じてしまう…」という職場で誰もが一度は抱える感情を、どう組織の活性化に繋げていくか?というテーマに、深く共感し、学びたいと感じ調べてみました。
誰もが抱える「不公平感」への共感
- 頑張りが見えない人の存在 正直なところ、「自分はこんなに頑張っているのに、あの人は手を抜いているのでは?」と感じてしまう瞬間は誰にでもありますよね。
- モチベーション低下のサイン この不公平感は、真面目に仕事に取り組んでいる人ほど、「なぜ自分だけが?」という気持ちになり、モチベーションを大きく下げてしまう危険性があります。
- それでも、責められない理由 もちろん、その「できない人」にも、何か事情や、今抱えている課題があるのかもしれません。だからこそ、個人を責めるのではなく、この感情をどう組織全体で受け止め、乗り越えるかが重要だと痛感しています。
組織の現実:「2:6:2の法則」を受け入れる
組織心理学を考える上で、まず知っておきたいのが「2:6:2の法則(パレートの法則から派生した考え)」です。
これは、どんな集団においても、能力やパフォーマンス、意欲の分布は概ね以下のようになるという経験則です。
- 上位2割: 高い成果を出し、積極的に組織を牽引するメンバー。
- 中間6割: 標準的な成果を出し、組織の中核を担うメンバー。
- 下位2割: 成果が出にくい、または意欲が低い、いわゆる「できない人」と感じられがちなメンバー。
重要なのは、この「下位2割」は常に存在し、変動するということです。どんなに優秀な組織でも、誰かがこの層に一時的に入る可能性があります。
不公平感は、この「下位2割」の存在を意識することで生まれやすくなります。「なぜ2割のために自分たちが頑張らなければならないのか」と感じるのは当然の心理です。
しかし、この法則を理解することで、「完璧な組織はない」という現実を受け入れ、その上でどう組織全体のパフォーマンスを最大化するか、という視点に切り替えることができます。
不公平感を組織のエネルギーに変えるための取り組み
不公平感は、組織が健全であるための「気づき」であるとも言えます。組織心理学が示唆する、この感情をポジティブに活かすためのポイントを、特に「2:6:2の法則」を踏まえて考えてみます。
1. 評価基準の「公平性」と「透明性」
- 評価の明確化が鍵 不公平感の多くは、「なぜあの人が評価されているのか分からない」という評価基準の曖昧さから生まれます。成果だけでなく、プロセスやチャレンジも評価対象とするなど、基準を明確にし、誰もが納得できるように透明化することが第一歩です。
- 公平性は主観ではない 誰から見ても「この基準なら納得できる」という客観的な仕組み作りが、「2割の人」への不要な妬みや疑心暗鬼を防ぎます。
2. 心理的安全性の確保
- 本音を話せる場 不満や不公平感を抱えている人が、それを安心して口にできる心理的安全性の高い環境が必要です。特に「上位2割」の頑張り屋さんが不満を溜め込まないよう、定期的な1on1などで対話の場を持ち、メンタルヘルスにも配慮しましょう。
- 孤独感・疎外感の解消 情報共有の格差や、特定のメンバーだけが優遇されていると感じる状況は、疎外感を生みます。チーム全体に重要な情報がオープンに共有される仕組みも、公平感を高めます。
3. 「相互理解」と「期待」のコミュニケーション
- 「2割」への適切な関わり 「下位2割」を切り捨てるのではなく、なぜ成果が出ないのかを理解する関わりが重要です。彼らに対しては、「中間6割」のメンバーと同じ目標ではなく、その人が達成できる小さな目標と期待を明確に伝えましょう。
- 「中間6割」への着目 組織の土台である「中間6割」のモチベーションが下がると、組織全体が傾きます。彼らが「上位2割」の背中を追い、成長できるように、適切な支援とフィードバックを行うことが、組織心理学的な活性化の要です。
不公平感は、組織を強くする「ヒント」
不公平感は、「2:6:2の法則」が示すように常に存在するメンバーの多様性によって生まれる自然な感情です。これを「あの人ができていない」というネガティブな感情で終わらせるのではなく、「どうすれば皆が納得して、それぞれの力を最大限に発揮できる組織になるだろう?」という前向きな問いに変えることが大切です。
「2:6:2の法則」を活かしたアプローチ
「2:6:2の法則」を前提に、それぞれの層に対して異なるマネジメントを行うことが、組織全体の底上げに繋がります。
① 上位2割(ハイパフォーマー層)へのマネジメント
不公平感を強く感じがちなのは、この頑張り屋の層です。
- 権限移譲とチャレンジの提供(動機付け要因) 標準的な業務ではなく、新たなプロジェクトや責任ある仕事を任せ、達成感と自己成長の機会を与えます。単に業務量を増やすのではなく、質的な挑戦を提供することが重要です。
- 承認と報酬の明確化 彼らの貢献は、公平かつ迅速に承認し、適切な報酬(昇給、ボーナス、表彰)で報いることで、不公平感を持たせないようにします。
② 中間6割(コア層)へのマネジメント
組織の基盤を支える層であり、彼らの成長が組織の成長に直結します。
- きめ細やかなフィードバックと成長支援 「上位2割に近づくためには何が必要か」を具体的に示す、建設的なフィードバックを継続的に行います。研修やOJTなど、スキルアップの機会を提供し、「自分も成長できる」という実感を促します。
- 成功体験の共有と役割付与 「上位2割」の成功事例を参考にさせつつ、小さな目標の達成を通じて成功体験を積み重ねさせます。小さなチームのリーダーなど、「責任」(動機付け要因)を与えることで、主体性を引き出します。
③ 下位2割(支援が必要な層)へのマネジメント
「できない人」として不公平感の対象になりがちなこの層には、個別の関わりが不可欠です。
- 要因分析と個別対応 なぜパフォーマンスが低いのか(スキル不足か、意欲の問題か、環境の問題か)を深く理解するための対話を行います。スキル不足であれば育成プランを、意欲の問題であれば心理的安全性を確保し、悩みを引き出すことに注力します。
- 役割の再設計とスモールスタート いきなり大きな目標を求めるのではなく、今のスキルでも確実に達成できる役割を再設計します。例えば、「資料作成のサポート」など、成功しやすい業務から始め、「できていること」にフォーカスして承認し、自己効力感を高めます。
これらの組織心理学に基づくマネジメント術を組み合わせることで、「できない人」を責める文化から、「全員が力を発揮し合える」組織文化へと変革できるはずです。
私自身、この学びを通じて、周囲の同僚やチームメンバーに対し、より建設的な関わり方をしていきたいと強く感じています。

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