【新卒就活のリアル】「やりたいこと」より「働きやすさ」?
1. 中途採用と新卒採用を見てきたからこそ感じる「働く」ことのギャップ
私はこれまで、経験豊富な中途採用者の転職支援も、社会に飛び出す新卒学生の就職支援も経験してきました。
中途採用者は、前職での経験(失敗も成功も)を「経験代謝」によって深く消化し、「次に何をしたいか」「なぜこの企業でなくてはならないか」という強い動機と明確な理由を持って転職に臨みます。
一方、新卒学生は、まだ「働く」という具体的な経験が少ないため、どうしてもイメージや学びに近い業界を選ぶのが精一杯になりがちです。
2. 変わる新卒の企業選び:軸は「仕事」から「働き方」へ
私が支援現場で話を聞いていて、顕著に変化していると感じるのは、学生さんの企業選びの「軸」です。
以前は「この仕事がしたい」「この企業の事業に魅力を感じる」といった『仕事の内容』や『企業のミッション』が主要な軸でした。しかし今は、次のような要素が学生の意思決定を大きく左右するようになっています。
| 旧来の軸 (中途採用に近い) | 今の学生に多い軸 |
| 仕事内容、事業のやりがい | 福利厚生(住宅補助など) |
| 企業の成長性、業界内での位置 | 休日・休暇(年間休日、有給取得率) |
| キャリアアップ、スキル習得 | 職場の雰囲気、風通しの良さ |
| 事業への共感 | インターンシップで感じた感覚 |
「雰囲気採用」の背景にあるもの
特に、「インターンシップでの会社の雰囲気が良かった」「社員が優しそう、風通しが良さそう」といった感覚的な理由で企業を選ぶ学生が増えています。
これは、彼らが「働く」という具体的なイメージを持てないからこそ、「働きやすさ」や「人間関係の安心感」という、自分を守るための要素を無意識に優先している証拠だと私は考えています。
3. 「働きやすさ」軸の企業選びに潜む、見落としがちなリスク
福利厚生や休日を重視することは、決して悪いことではありません。ワークライフバランスを重視するのは、これからの社会で非常に大切な価値観です。
しかし、この「働きやすさ」を最優先の軸にしてしまうと、入社後に大きなギャップを感じるリスクがあります。
キャリア支援の中で懸念する点
- 仕事内容とのミスマッチ: 雰囲気が良くても、任される仕事が自分の能力や価値観に合わないと、働くモチベーションは続きません。
- 経験代謝が進まない: 経験から「やりがい」や「成長」というポジティブな気づきが得られず、経験代謝が進みにくくなります。
- 転職理由が「逃避」になる: 経験から学びを得た中途採用者と違い、「雰囲気が違う」「休みが取れない」といった待遇面が原因で、経験を活かせないまま次の職場を探すことになりかねません。
4. 軸が「働き方」でも後悔しないための3つのヒント
では、今の時代の就活で後悔しないためにはどうすれば良いでしょうか? 軸が「働きやすさ」でも大丈夫です。ただし、この3つの視点を加えてください。
- 「なぜ、働きやすいと良いのか?」を深掘りする:
- 「休日が多いから」→「休日に何をする時間が必要なのか?(例:自己学習、趣味、家族との時間)」
- この問いに答えることで、企業で得た給料や時間を使って、何をしたいのかという『働く目的』が見えてきます。
- 「雰囲気」を具体的な『価値観』に言語化する:
- 「風通しが良い」→「自分の意見を自由に言いたい」→「自分の意見が採用される環境を求めている」
- このように言語化することで、入社後に自分が組織に求める役割が明確になり、ミスマッチを防げます。
- 「仕事内容」を『成長の機会』として捉え直す:
- 興味のない仕事でも、「この仕事を通じてどんなスキルが身につくか?」「2年後にどんな自分になれるか?」という経験の機会として企業を選び直してみましょう。
「働く」ことは、給料をもらうことだけでなく、自分の人生を形作る経験の連続です。あなたの経験代謝を最大限に生かせるよう、感覚的な軸に少しだけ「働く目的」という名の専門的な軸を加えてみてください。
【次のステップ】 あなたがインターンシップで「雰囲気が良かった」と感じた企業について、具体的なエピソードを思い出し、それがあなたのどんな価値観(例:協調性、積極性、挑戦心など)に響いたのかを書き出してみましょう。

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