「年金、遅らせたほうが得」は本当?
「年金は遅くもらうほど増えるから、ガマンしてでも繰り下げたほうがいい」 そんな話を耳にしたことはありませんか?
最近では制度が変わり、最長75歳まで受給を遅らせることもできるようになりました。でも、あっちこっちで法律が変わると、「結局、自分にとっては何が一番いいの?」と迷ってしまいますよね。
実は、ある税理士さんは「年金は60歳から受け取るのが合理的」と断言されています。 今回は、数字上の「得」だけでは見えてこない、人生を豊かにするための年金戦略について一緒に考えてみましょう。
数字の「増額」に惑わされていませんか?
年金は、受給を1ヶ月遅らせるごとに0.7%ずつ増えていきます。75歳まで待てば、なんと84%も増える計算です。
これだけ聞くと「待てるだけ待ったほうがいいかも!」と思ってしまいますが、ここには大きな落とし穴があります。それは、「一生変わらない増減率」というルールです。
一度決めた受給タイミングは、後から変えることができません。数字上の「最大額」を目指すあまり、今の生活や健康を犠牲にしてしまうリスクを忘れてはいけないのです。
お金があっても「動ける体」がないと意味がない
ここで考えてみたいのが、「健康寿命」という視点です。 日本人の平均寿命は延びていますが、元気に日常生活を送れる「健康寿命」は、男性で約73歳、女性で約75歳と言われています。
もし、年金を増やすために70歳や75歳まで受給を我慢したとしたら……。 ようやく手にした増額年金を使うとき、旅行に行ったり、趣味を楽しんだりする体力が残っているでしょうか?
「お金はあるけれど、どこにも行けない」 そんな状況になってしまうのは、少し寂しいですよね。せっかく積み立ててきた年金です。心身ともに元気なうちに、自分のために、そして大切な人のために使ってこそ価値があるのではないでしょうか。
「今」を大切にする、という合理的な選択
税理士さんが「60歳からの受給」を勧める理由は、単なる計算上の損得ではありません。 それは、「人生のゴールが見えないからこそ、早めに受け取って有効活用する」という考え方です。
- 早めに受け取って、今の生活にゆとりを持つ
- 動けるうちに、夫婦で思い出を作る資金にする
- 将来の不安に備えて、自分で運用や管理を始める
早めに受け取ることで、「今の自分」に選択肢が増える。これこそが、長い老後を安心して過ごすための、ひとつの正解かもしれません。
年金の受給時期に「これが絶対」という正解はありません。 でも、国が勧める「繰り下げ」という言葉を鵜呑みにするのではなく、「自分はどんな老後を過ごしたいか?」を基準に選ぶことが大切です。
「長生きしたら損をするかも」と怖がるよりも、「今、この瞬間をどう楽しむか」に目を向けてみませんか? 一度、ご自身のライフプランと照らし合わせて、受給のタイミングをイメージしてみてくださいね。

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